子牛のもっとも多い疾病の原因に肺炎があります。
疾病率は約50%ともいわれており、最も畜産経営に悪影響を与えている疾病の一つと言っても過言ではありません。
子牛の肺炎に悩まされている畜産農家の方にとって原因や予防方法は気になるところですよね。
今回は下記の4つのことについて解説していきます。
・子牛の肺炎の原因
・どのような症状になるのか
・予防する方法
・治療方法
子牛の肺炎の原因
肺炎の原因は主に下記の細菌やウィルスです。
- マイコプラズマ
- 細菌(パスツレラ、マンヘミア、ボビス)
- ウィルス(IBR,RS,PI3)
このような細菌が発生する原因は様々です。
代表的な要因としては
- 出生時にしっかり初乳を飲んでいない
- 換気が悪く、糞尿から悪い空気が畜舎内に充満する
- 敷料が湿っており、体温が下がり、免疫が低下する
- 蜜飼いにより、牛のストレスが増え、免疫が低下する
- 気温が低い(ウィルスは気温が低い方が活発化しやすい)
があります。
生後1か月から3カ月を目安に発病します。
一つの要因だけではなく、様々な要因が絡み合っていますので、原因を特定するのが困難な疾病です。
実際に肺炎になったらどのような症状がでるのか確認していきましょう。
肺炎の症状
肺炎になった場合の症状は様々です。
たとえば
- パスツレラ肺炎は頭部が伸長する
- マンヘミア肺炎は頭部が下垂する
- マイコ肺炎は耳が垂れる・中耳炎・関節炎
などの症状がでます。
このほかにも発熱・充血・咳・下痢便などがでることがあり、様々な症状がでます。
肺炎は子牛の成長や発育を阻害するとともに、同じ牛舎にいる他の牛にも悪影響を及ぼします。
経済的損失も大きい為、早期の治療および事前の予防が必須となってきます。
治療方法
治療方法は抗生物質を利用します。
与える薬は肺炎の原因によって異なりますが、政府のガイドラインでは下記のとおり定められています。
- 一次選択薬は抗菌スペクトルの狭いものを選ぶ
- 最初の菌で一般細菌が疑われる場合はペニシリン系、耐性菌の発生が疑われる場合はセフェム系、フェニコール系、テトラサイクリン系
- 一次選択薬で効果が出ない場合は、上記と異なる種類の薬を選択
- マイコプラズマが疑われる場合はマクロライド系、フェニコール系を一次選択薬
- 二次選択薬としてフルオロキノロン系薬剤
抗生物質の種類が様々で、原因を特定するのが困難な為、獣医師と相談して投薬を決めることをおすすめします。
予防方法
肺炎は完全になくすことはできませんが、予防によって数を少なくすることができます。
具体的な予防方法は下記の通りです。
- 初乳をしっかりと給与し、子牛の免疫を高める
- 母牛へのワクチン接種によって、子牛への移行抗体を強める
- 母牛の分娩前30~60日前に配合飼料を増やして、子牛の状態を向上させる
- 市場購買の場合は初乳を飲ませている生産者から購買する
- 密飼いを避ける
- 牛舎の環境を良くする(換気・敷料・気温調整)
- 5種混合ワクチンの接種(生後1か月後+生後4~5か月後)
特に注意が必要なのが市場から生後間もない子牛を購入してくるケースです。
見た目は良くても、初乳をしっかり給与しておらず、購入した後に肺炎になったというケースは少なくありません。
どの牛を購入するかもさることながら、誰から牛を購入するかという点も重要視しましょう。
まとめ
子牛の肺炎は様々な細菌やウィルス、環境要因などが絡み合い原因を特定するのは困難な疾病です。
そのため、肺炎になった後にどうするかというよりもならないためにはどうすればよいかという点を重要視すべきです。
- 適切な飼養管理
- 母牛の管理
- ワクチンの接種
などを行い、肺炎によーる経済的損失の影響を最小限にとどめめましょう。
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